双極症の新薬開発
双極症の画期的新薬が次々と登場する日まで
加藤忠史
2025.11.03
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現在使われている精神疾患の治療薬は、どれも偶然に近い形で発見されたものばかり。最初の抗精神病薬クロルプロマジンは、麻酔前投薬として使われていたものが統合失調症に有効であることが見出されたという経緯でした。抗うつ薬のイミプラミンは、統合失調症の薬として開発された中で、臨床試験で抑うつ症状への効果が見出されました。
双極症の治療薬も例外ではありません。リチウムの場合は、尿酸を排泄させるのに有効ではないか、という誤った理論に基づいて試みられ、たまたま効果が発見されましたが、抗てんかん薬(カルバマゼピン、バルプロ酸、ラモトリギン)は、てんかんの薬として用いられる中で、双極症への効果が見出され、抗精神病薬も、元々は統合失調症の治療薬。
このように、双極症の治療薬の現状は、原因に基づいて開発されている内科疾患の治療薬とは全く異なる状況と言わざるを得ません。
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- 既存薬の作用機序
- 今、双極症に対してどんな薬が開発されているのか?
- 既存薬とその改良版
- KarXT
- グルタミン酸関連
- 抗てんかん薬関連
- カンナビノイド・オピオイド関連
- その他
- ミトコンドリアカルシウム制御を標的とした創薬
- おわりに
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