大学病院の現場からみた精神科医療の課題
新年あけましておめでとうございます。本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。何とか続けていきたいと思いますので、よろしければご登録ください。
2024年は医学にとってどんな年であったか
2024年は、日本の医療にとって、底つき体験とも言えるような、試練の年でした。2024年度、国立大学病院全体で235億円の赤字が見込まれており、民間病院も半数以上が赤字です。2024年は、物価が上昇し、何もかも値上げという年でした。原材料費の値上げ分を価格に転嫁すると客足が遠のくのでは、と心配する飲食店でも、もはや値上げせずには耐えられない、そんな状況が続いていました。
一方、原材料費の値上げ分を決して価格に転嫁できないのが、病院です。何しろ医療費は国が決定しており、決定後に物価が上昇しても、決まった価格でしか医療を提供できないからです。製薬会社も同様。薬の価格は国が決定しているため、いくら原材料費が高騰して採算がとれなくなっても、勝手に値上げする訳にはいきません。そうなると、製薬会社としては、もうからない薬は販売中止するしかない。そんな訳で、炭酸リチウムの発売を中止する会社が相次いだため、急遽、学会から薬価改定の要望書を提出し、炭酸リチウムは安定確保医薬品に含まれるということで、やっと薬価が改定されました。その後も、不採算なので薬価改定を要望してほしいという依頼は次々と届いていますが、もはやこうした個別対応では困難な状況です。
そんな中、来年度こそは、何とか赤字にならないように医療費を引き上げてくれるか、と思っていたら…。