双極症の最新ゲノムワイド関連研究
Nature誌に掲載されたPGC4論文
2025年1月、Nature誌に、これまでで最大となる、158,036人の双極症患者さんを対象とした、PGC(Psychiatric Genomics Consortium)によるゲノムワイド関連研究(GWAS)が報告されました(O'Connell KS, et al. Genomics yields biological and phenotypic insights into bipolar disorder. Nature. 2025 Jan 22)。
この内容は、既に昨年8月に、プレプリントとしてmedRxivに登録され、広く公開されていたので、この論文が出ること自体は既に周知されていたのですが、Natureに掲載されたことは、驚きでした。何しろ、Nature誌にbipolar disorderをタイトルに含む論文が掲載されたは10年ぶりです。ちなみに前回は、双極症患者さんのiPS細胞由来神経細胞が過剰興奮性を示す、という論文でした。
PGCは、世界中の精神疾患のゲノム研究者が集まり、各国で行われたゲノムワイド関連研究の結果をまとめて、より大きな人数での解析を行うことにより、精神疾患の原因解明を目指そう、というコンソーシアムです。国際精神科遺伝学会の年会では、毎回このPGCの会合が行われ、最新の成果が共有されます。何しろあまりにも多くの研究者が参画しているので、その論文も、前述の通り、掲載前から広く公開されている訳です。発表された論文はプレプリント版からはかなり変わっていました。その内容をご紹介しましょう。
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